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口コミ依頼の自動化とステルスマーケティング規制(2023年施行)との整合性

最終更新: 2026年7月2日

この記事でわかること

  • 「口コミ依頼を自動化したいが、ステマ規制に違反しないか不安」というサロンオーナー特有の悩みに対し、規制の対象範囲と判断基準を整理します。
  • 何が「NG寄り」で何が「OK寄り」かを、具体的な依頼文面の例で対比します。
  • 口コミ依頼を自動化する際に見落としがちな運用上のチェックポイントを、チェックリスト形式でまとめます。
  • 美容室・ネイル・まつげ・エステ・リラク/整体など業種特有の注意点にも触れます。

なお本記事は法令の一般的な解説であり、個別の運用が適法かどうかの最終判断ではありません。


ステルスマーケティング規制とは何か(2023年10月施行)

施行の背景と位置づけ

いわゆる「ステマ規制」は、2023年10月1日に施行された景品表示法上の規制です。消費者庁が2023年3月28日に運用基準を策定・公表し、この基準に基づいて「事業者の表示であるにもかかわらず、第三者の表示であるかのように誤認させる表示」が不当表示として規制対象に加えられました〔出典: 消費者庁 (参照2026-06-29)〕。

これは新しい業法ができたわけではなく、既存の景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)の規制対象に「ステルスマーケティング」という類型が追加された、という位置づけです。したがって違反した場合の措置(後述)も景品表示法の枠組みに沿って行われます。

規制対象は「事業者の表示」であり、口コミ依頼行為そのものではない

ここで最初に誤解を解いておきたいポイントがあります。ステマ規制が禁止しているのは、

  • 事業者(サロン側)が関与した表示であるにもかかわらず
  • 第三者(客)の自主的な感想であるかのように示す

という「表示の状態」です。「お客様に口コミ投稿をお願いすること」自体が禁止されているわけではありません。口コミ依頼は多くの業種で一般的に行われている集客手法であり、依頼という行為そのものが直ちに違法になるわけではない、という点は最初に押さえておく必要があります。

ただし、依頼の仕方・対価の設計・投稿内容への関与の仕方によっては、「事業者の関与を隠した表示」に該当するリスクが生じます。次章で具体的な判断基準を見ていきます。

なお本セクションの解説は一般的な制度説明であり、個別の事案がステマ規制に該当するかどうかは表示の内容・対価の有無・関与の程度など個別事情によって判断が分かれます。最終的な適法性判断は弁護士・行政書士等の専門家、または消費者庁・所轄窓口への確認をおすすめします。

景品表示法とステマ規制の関係性、施行日・運用基準策定日を示す簡易年表の図解
景品表示法とステマ規制の関係性、施行日・運用基準策定日を示す簡易年表の図解


サロンの口コミ依頼が規制に触れるケース・触れないケース

判断基準:「対価性」と「事業者の関与度」

ステマ規制に該当するかどうかを考えるうえで、実務上よく参照される視点は大きく2つです。

  1. 対価性: 口コミ投稿の見返りに、金銭・割引・ポイント・物品などの経済的利益を提供しているか。特に「良い評価を書けば/高評価を条件に」対価を与える設計になっている場合はリスクが高まります。
  2. 事業者の関与度: 投稿内容(文面・評価の星の数など)をサロン側が指定・誘導・改変しているか。客の自主的な感想を尊重した依頼か、実質的にサロンが書かせているに近い状態か。

この2つが強く組み合わさるほど「事業者の表示なのに第三者の表示に見せている」と評価されるリスクが高まります。逆に、対価なし・内容への関与なしの単なる「投稿のお願い」は、一般的にはリスクが低いとされています。

ただし実際の該当性判断は表示内容・業界慣行・個別の事情を総合的に考慮して行われるため、以下はあくまで一般的な傾向の整理であり、個別ケースの適法性を保証するものではありません。判断に迷う場合は専門家・所轄の窓口(消費者庁、都道府県の景品表示法担当課等)へ確認してください。

NG例・OK例:依頼文面の具体的対比

実際にどのような依頼文言が「NG寄り」「OK寄り」とされやすいか、具体例で見てみましょう。

#依頼文面の例リスク度注意点
1「口コミで星5つをつけていただけたら次回500円割引します」高(NG寄り)評価内容(星5)を条件に対価を提供している。対価性+内容指定の両方が該当し、最もリスクが高いパターン
2「良い口コミを書いてくれたらポイント2倍にします」高(NG寄り)「良い」という評価内容を条件にした対価提供。文言上、内容誘導が明確
3「ご来店いただいた方には一律で次回使えるポイントを付与しています(口コミ投稿は任意・評価内容は問いません)」低〜中(OK寄り〜グレー)対価提供の条件が口コミの「有無」ではなく「来店」自体であり、評価内容への言及がない設計。ただし運用実態次第でグレーになりうるため文言・運用の整合性に注意
4「よろしければ、率直なご感想をGoogleに投稿いただけると励みになります」低(OK寄り)対価の提供なし、内容の指定なし。単なる依頼として一般的にリスクが低いとされる文言
5「投稿内容を確認させてください。良い内容でしたら公開、そうでなければ書き直しをお願いします」高(NG寄り)投稿前検閲・選別・書き直し要求は事業者の関与度が非常に高く、第三者の自主的表示とは言えなくなるリスクが大きい
6「口コミ投稿してくださった方全員に、評価内容を問わず粗品(数百円相当)をお渡ししています」中(グレー)内容非指定でも、対価の提供自体が習慣化・大規模化すると「表示の信頼性を損なう構造」と評価されるリスクが残る。金額の多寡・告知の有無も影響しうる

上記はあくまで一般的な傾向整理であり、個別の表示・運用が該当するか否かの断定ではありません。

割引・特典付き依頼は景品表示法の「景品規制」にも触れうる

見落とされがちですが、口コミ投稿への対価として割引・ポイント・粗品などを提供する場合、ステマ規制とは別に、景品表示法の景品類の提供に関する規制(総付景品・懸賞景品の上限額など)にも触れる可能性があります。取引価額に応じた景品類の上限額が定められているため、口コミ特典の金額設計によっては別の論点として景品規制の確認が必要になる場合があります。

「ステマ規制はクリアしているつもりだったが、景品規制の上限を超えていた」というダブルチェック漏れは実務上起こりやすいポイントです。特典を設計する際は、対価性の観点(ステマ規制)と提供額の上限(景品規制)の両方を確認し、専門家に相談することをおすすめします。


口コミ内容に潜む薬機法・業種別リスク(効果効能表現)

口コミ依頼そのものだけでなく、投稿される口コミの内容にも注意すべき論点があります。特に美容・健康関連サービスでは、以下のような表現が薬機法・景品表示法上の「効果効能の標榜」とみなされるリスクがあります。

  • 美容室:「白髪が完全になくなった」「薄毛が治った」等の断定的な変化表現
  • ネイルサロン:「爪が生まれ変わった」等の医学的効果を示唆する表現
  • まつげサロン:「まつ毛が生えてきた」「発毛効果があった」等
  • エステ:「痩せた」「たるみが治った」「シミが消えた」等の医療的効果の断定
  • リラク・整体:「腰痛が完治した」「症状が改善した」等の施術効果の断定

これらは客が自主的に書いた口コミであっても、事業者側がそうした表現を誘導・推奨・強調して転載・引用すると、事業者自身の広告表示とみなされ薬機法・景品表示法上の問題に発展するリスクがあります。口コミ依頼文面や、口コミの中から抜粋してSNS等に転載する際は、効果効能を断定する表現を避けるよう客側にも配慮を促すか、少なくとも事業者側での積極的な転載は慎重に行う必要があります。

なお、まつげエクステンションの施術は美容師法上の資格(美容師免許)が必要とされる行為とされています(装着方法や関連法令の解釈については所轄の保健所・関連団体の見解も参照されます)。これは口コミ・ステマ規制とは別の論点(施術者の資格要件)であり、両者を混同しないよう注意してください。

※薬機法・美容師法に関するより詳細な解説は、別テーマの記事に譲ります。

サロン開業ロードマップ完全ガイド


口コミ依頼を自動化する際に見落としがちな運用チェックポイント

来店前後のメールやLINEで口コミ依頼を自動送信する運用は多くのサロンで導入が進んでいますが、「自動化したから」といって上記の判断基準が緩くなるわけではありません。むしろ一斉配信ゆえに、文面のNG表現がそのまま多数の顧客に届いてしまうリスクがあります。自動化前に以下のチェックリストで運用を見直しましょう。

口コミ依頼・自動化運用チェックリスト(10項目)

  • 依頼文面に「星5」「高評価」など評価内容を指定する表現が入っていないか
  • 特典・割引・ポイントを提供する場合、その条件が「投稿の有無」ではなく「評価内容」になっていないか
  • 特典を提供する場合、景品表示法上の景品類の上限額に照らして金額設計を確認したか
  • 投稿前に内容を確認・選別・書き直しを求める運用になっていないか
  • 依頼のタイミング(施術直後・会計時・後日メール等)が過度な心理的圧力になっていないか
  • 口コミ代行業者・第三者による組織的な投稿代行を利用していないか(後述)
  • 効果効能を断定する文言(治った・痩せた等)を依頼文やテンプレートに含めていないか
  • 低評価の口コミへの対応方針(削除依頼の可否等)を事前に整理しているか
  • 自動送信メールやLINEメッセージの配信対象者に、配信への同意(オプトイン)を得ているか
  • 依頼文面・特典条件・運用フローについて、最終的に専門家へ一度確認したか

メール・LINE一斉配信時の個人情報保護・特定電子メール法の要点

来店前メールリマインドや口コミ依頼を自動配信する場合、顧客情報の取得・利用目的の明示は個人情報保護法、広告・宣伝メールの送信には特定電子メール法(オプトイン規制・表示義務等)が別途関係します。この論点は本記事の主題(ステマ規制)とは別レイヤーの話であり、詳細は個人情報保護・LINE配信に特化した記事で扱います。

口コミ依頼のNG例/OK例を対比した比較図解
口コミ依頼のNG例/OK例を対比した比較図解


口コミ依頼を自動化するとステマ規制違反になる?VANNAの位置づけ

ここまで見てきたとおり、ステマ規制上のリスクは「自動化しているかどうか」ではなく「依頼文面・対価設計・投稿内容への関与度」によって決まります。したがって、口コミ依頼を自動送信する仕組みを使うこと自体が、直ちにステマ規制違反になるわけではありません。

VANNAの口コミ依頼自動化機能(Maxプラン以上)は、来店後の適切なタイミングで口コミ投稿を促すメッセージを自動送信する「依頼送信の効率化」を目的とした機能であり、投稿内容の作成・改変・選別を代行するものではありません。あわせて提供しているNG表現自動注意表示は、薬機法・景品表示法に関わりやすい表現(効果効能の断定表現など)を入力時に簡易的に検知して注意喚起する支援機能です。

ただし、この注意表示はあくまで簡易的なチェック支援であり、法令適合を保証するものではありません。実際に配信する文面が適法かどうかの最終判断・責任は、利用する店舗側にあります。特典設計や依頼文面については、本記事のチェックリストを参考にしつつ、必要に応じて専門家に確認したうえで運用してください。

VANNA管理画面で口コミ依頼メッセージを設定する画面のスクリーンショット
VANNA管理画面で口コミ依頼メッセージを設定する画面のスクリーンショット

なお、機能の提供プラン・料金・仕様は変更される可能性があるため、最新情報は必ず公式サイト(料金ページ・機能ページ)でご確認ください。


Googleマップ・ホットペッパー等プラットフォーム規約との違い

口コミ依頼を検討する際、もう一つ整理しておきたいのが「法令」と「プラットフォームの利用規約」は別レイヤーだという点です。

  • 景品表示法(ステマ規制・景品規制): 国が定める法令であり、違反した場合は消費者庁等による措置命令などの対象になりえます。
  • Googleマップ・ホットペッパービューティー等の口コミ機能利用規約: 各プラットフォーム事業者が独自に定めるルールであり、対価提供による口コミ依頼やなりすまし投稿などを個別に禁止・制限している場合があります。

法令上は問題がない(グレーではない)と整理できた場合でも、プラットフォームの規約に抵触すれば、口コミの削除・アカウント制限・掲載順位への影響などの実務的な不利益を受ける可能性があります。逆に規約上は明確に禁止されていなくても、法令上の問題が生じることもあり、両者は必ずしも一致しません。

各プラットフォームの規約は改定される可能性があるため、口コミ依頼の運用を設計する際は、利用している集客プラットフォームの最新の規約を必ず確認してください。


違反時に想定されるリスク

景品表示法違反の場合の一般的な枠組み

ステマ規制を含む景品表示法違反が認められた場合、一般的には消費者庁または都道府県から事業者に対して調査が行われ、違反が確定すると再発防止を求める措置命令などの行政処分が行われる枠組みが用意されています。措置命令の内容が公表される場合もあります。

ただし、実際にどのような手続き・処分が行われるかは個別事案の内容・規模・悪質性等によって異なり、一律の基準を示すことはできません。

プラットフォーム側の実務リスク

法令上の措置とは別に、プラットフォーム側が独自に口コミの削除、投稿機能の制限、アカウントの利用停止などの対応を行う可能性があります。特に組織的な代行業者を利用した投稿など不自然な集中が検知された場合、法令違反の有無にかかわらずプラットフォーム側の判断で対応されることがあります。

これらのリスクを踏まえると、「グレーだから大丈夫」と自己判断で運用を続けるのではなく、疑わしい設計は事前に見直すか専門家に相談する方が、結果的に集客の継続性を守ることにつながります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 口コミ投稿に割引をつけて依頼してもよいですか? A. 割引の条件が「投稿の有無」であり評価内容を問わない設計であっても、対価提供である以上はステマ規制・景品規制の両方の観点から確認が必要です。特に評価内容(高評価であること)を条件にした割引は、リスクが高いとされる典型例です。

Q2. 「良ければ口コミお願いします」の一言もアウトになりますか? A. 対価の提供や評価内容の指定を伴わない、単なる依頼の一言は、一般的にはリスクが低いとされています。ただし依頼のタイミングや頻度、店舗側の関与の程度によって評価は変わりうるため、断定はできません。

Q3. 自動送信メッセージなら店側の関与が薄いので安全ですか? A. いいえ。自動化は配信作業の効率化にすぎず、文面や対価設計そのものは店舗側が決めています。自動送信であることは、ステマ規制上の判断に有利にも不利にも直接は働かないと考えられます。文面と運用設計そのものを見直すことが重要です。

Q4. 低評価の口コミについて、投稿者に削除を依頼してもよいですか? A. 削除の「お願い」自体を一律に禁止する規定は本記事の主題であるステマ規制には直接ありませんが、依頼の方法によっては別の問題(不当な圧力、プラットフォーム規約違反等)を生じさせる可能性があります。低評価への対応は返信での誠実な対応を基本としつつ、削除依頼を行う場合の適否については専門家・プラットフォームの窓口に確認することをおすすめします。

Q5. 個人サロン・小規模店舗でも規制の対象になりますか? A. 景品表示法・ステマ規制は事業者の規模を問わず適用される法令であり、個人サロンだから対象外ということはありません。規模の大小にかかわらず、依頼文面・対価設計の確認は必要です。

Q6. 口コミ代行業者に投稿を依頼するのはどうですか? A. 実際には利用していない人物による投稿代行や、サクラ的な投稿の依頼は、ステマ規制以前に口コミの信頼性そのものを損なう行為であり、プラットフォーム規約違反にも該当しやすく、リスクが高い運用とされています。実店舗を利用した顧客からの自主的な投稿を促す方向で運用を設計することをおすすめします。


まとめ:自動化と適法な口コミ依頼を両立させるポイント

  • ステマ規制(2023年10月施行)が禁止するのは「事業者の表示を第三者の表示に見せかけること」であり、口コミ依頼という行為自体を一律に禁止するものではありません。
  • 判断のポイントは「対価性」と「事業者の関与度」。評価内容を条件にした特典提供や、投稿内容の検閲・書き直し要求はリスクが高い典型例です。
  • 割引・特典を設計する際は、ステマ規制だけでなく景品表示法の景品規制の上限額も確認しましょう。
  • 口コミ依頼の自動化は「配信作業の効率化」であり、文面・対価設計自体の適法性は自動化の有無とは別に確認が必要です。
  • 法令(景品表示法)とプラットフォームの利用規約は別レイヤーであり、両方を意識した運用設計が必要です。
  • 最終的な適法性の判断は、専門家(弁護士・行政書士等)や所轄の窓口への確認を通じて行ってください。

まずは本記事のチェックリストを使って、現在の口コミ依頼文面・特典設計を見直すところから始めてみてください。


本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、個別の法令適合性を保証するものではありません。また、掲載している法令・制度・VANNAの機能や料金に関する情報は変更される可能性があるため、実際の運用にあたっては専門家への確認、および最新情報は公式サイト(消費者庁、VANNA公式 https://at-vanna.com/pricinghttps://at-vanna.com/features 等)でのご確認をお願いいたします。

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